収穫サポートロボットを作ろうと思ったきっかけ

AgriRobotics

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収穫サポートロボットを作ろうと思ったきっかけ

農作業記録
ROSトマトチャレンジ

トマトチャレンジをきっかけにロボットに興味を持つ

自分はもともとものづくりが好きだったので、大学では工学部機械系の学科に入学し、
そのままなんとなくで大学院ではロボット系の研究室に入りました。
研究は、ロボットアームの軌道計画に関する研究をしていましたが、
シミューション上での研究であったため、最初はあまり楽しさを見いだせなかったです。

しかしながら、修士一年のときに研究室でトマトピッキングチャレンジと呼ばれる、
研究室内のメンバーでトマトを自動で収穫するロボットを作ろうという取り組みが行われました。
そのときはじめてロボットを一から作る経験をして、ロボットの楽しさを知るきっかけとなりました。
特に楽しかったのは、チームメンバーと夜遅くまでプログラムとにらめっこしながら、
「ここはこうしたほうがいいんじゃないか?」「このエラー何!?」など話しながら改良を繰り返していったのが印象的でした。
トマトチャレンジで作った収穫ロボット

実際の農業現場ではすでにロボットが導入されているのか?

一方で、こういったロボットが実際の農業現場ではもう導入されているのか、
それともまだ手作業でやっているのかが気になりました。
そこで、友人にトマト農家さんを紹介してもらい、実際に話を伺い、作ったロボットを見てもらいました。結論から言うと、農業現場ではまだまだロボットが導入されておらず、手作業が多かったです。また、作ったロボットは必要ないとおっしゃられました。
理由としては、自分で育てた作物は、時間をかけて大切に育ててきた作物だから、自分の目で一つ一つ確認しながら収穫したいとのことでした。

その意見を聞いた時、たしかに自分が大切に育ててきた作物を勝手に収穫されるよりかは自分の手で収穫したいだろうし、そこが農業の醍醐味なんじゃないかと思い、こういった全自動ロボットではなく、なにか作業をアシストするロボットを作ろうかなと考え始めました。

自分にはなにができるか?

それから農業についてより深く知って、課題を見つけてからロボットを作ろうと考え、知り合いに農家さんを紹介してもらい、実際の農業を体験しました。普段研究室に閉じこまって作業することが多かった自分からすると、太陽の陽を浴びながら農作業をすることをすることは非常に楽しかったですし、お手伝いさせていただいた農家さんの方々は、どこの誰かもわからない自分に非常に優しく接して頂いて、嬉しかったです。 

そして、出会ったのが和歌山県のみかん農業でした。冬の収穫シーズンに伺ったのですが、朝から晩までひたすらみかん収穫を手伝わせていただきましたが、収穫カゴを持ちながら長時間作業を続けることは、ヘルニア持ちの僕からしたら非常に大変でした。また、お話を聞くと、この作業を収穫シーズンの12月〜2月まで毎日繰り返すとのことで、中には自分と同じように椎間板ヘルニアになってしまった方もいっらっしゃいました。さらに和歌山県のみかん農家さんは他の農業と同様に高齢化が進み、人手不足が大きな問題となっていました。そのため、今後さらにみかん農家さんに加わる負担が大きくなっていくことが予想されるので、負担を軽減する何かが必要だと考えられます。そこで、自分の今やっている"ロボット"で何かお手伝いできるのではないかと考えたのが、この活動の始まりです。「自分の今までやってきたことがようやく誰かのお役に立てるかもしれない」と思い、今まで活動を続けてきました。まだまだ自分はロボットエンジニアとしては未熟ですが、少しでも誰かのお役に立てるロボットを開発できるように頑張っていきたいです。


【プロフィール】橋本 俊治(はしもと しゅんじ)
2016年に神戸大学工学部機械工学科に入学、その後神戸大学大学院に進学し、機能ロボット学研究室でマニピュレータの軌道計画についての研究を行うとともに、みかん収穫をサポートするロボットを開発。、現在は、東京のロボットベンチャーでロボット開発を行うとともに、個人で農家さんのためのロボット開発を行っている。
滋賀県竜王町出身。